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2026.10.4

壁体内結露とは?高断熱住宅で「湿気」を考える理由

 

ERBENが高性能住宅を考えるとき、断熱性能と同じくらい大切にしているものがあります。

それが「湿気」です。

 

壁の中にも、湿気が存在する

私たちが暮らしている空間には、常に水蒸気があります。

人が呼吸する。
料理をする。
お風呂に入る。
洗濯物を室内に干す。

こうした日常生活の中で、室内には水蒸気が発生しています。

そして、その水蒸気は住宅の壁と無関係ではありません。

高断熱・高気密の住宅であっても、適切な設計や施工がされていても、壁体内に水蒸気発生します。

そこで重要になるのが「壁体内結露」です。

 

壁体内結露とは?

壁体内結露とは、壁の内部に入り込んだ水蒸気が冷やされ、露点温度を下回ることで水滴となる現象です。

例えば、冬に暖房を使っている室内には、暖かく湿った空気があります。

その空気が壁の内部へ入り込み、温度の低い部分で冷やされると、空気中に含みきれなくなった水蒸気が水滴になります。

これが壁の中で起こる「内部結露」です。

窓ガラスに水滴が付く結露なら、目で見て気づくことができます。

しかし、壁体内結露は、その名の通り壁の中で起こります。

つまり、発生していても暮らしている人には見えません。

そして、壁の中で水分が長期間にわたって滞留すれば、木材の腐朽などにつながり、建物の耐久性に影響する可能性があります。

だからこそERBENでは、

「断熱性能を高める」だけではなく、「壁の中で湿気がどう動くのか」まで考えることが重要だと考えています。

断熱性能を高めても、湿気の問題はなくならない

高断熱住宅をつくるためには、断熱性能を高めることが欠かせません。

熱橋をできるだけ減らすことも重要です。

そして、気密性能を高めることも重要です。

しかし、どれだけ住宅の性能を高めても、そこに人が暮らす以上、水蒸気そのものをゼロにすることはできません。

だからこそ、ERBENでは「湿気をなくす」のではなく、「湿気を適切にコントロールする」という考え方が必要だと考えています。

室内から壁体内へ水蒸気が入り込むことをできるだけ抑える。

そして、万が一壁体内に入り込んだ湿気については、そこに滞留させず、適切に排出できるようにする。

この両方を考えることが大切です。

国土交通省の資料でも、内部結露対策として、防湿層によって室内から壁体内への水蒸気の流入を抑え、通気層によって壁体内の湿気を排出する考え方が示されています。

つまり、高性能な壁とは、単に「熱を通さない壁」ではありません。

熱と湿気、その両方をコントロールできる壁であること。

ERBENは、そこまで考えて住宅性能をつくることが大切だと考えています。

 

壁の中だけではない。室内側の素材も考える

では、壁体内の湿気を考えるとき、壁の中だけを考えればいいのでしょうか。

私たちは、そうは考えていません。

室内側の仕上げ材にも、それぞれ異なる性質があります。

例えば、住宅で一般的に使用されているビニールクロス。

デザインが豊富で、施工性にも優れた、とても使いやすい仕上げ材です。

一方で、壁の仕上げ材には、透湿性や吸放湿性など、それぞれ異なる性質があります。

だからERBENでは、

「壁の中の湿気をどうするか」だけではなく、「室内側の壁をどんな素材で仕上げるのか」まで考えたい。

そう考えています。

そこでERBENが採用している素材の一つが、「薩摩中霧島壁」です。

鹿児島の素材「薩摩中霧島壁」

薩摩中霧島壁は、南九州に広く分布する火山噴出物「シラス」を主原料とした自然素材の内装材です。

シラスは多孔質な素材で、高い調湿性能を持つことが特徴の一つです。

湿度が高いときには湿気を吸収し、乾燥すると放出する。

いわば、室内の湿度環境に合わせて「吸って、吐く」素材です。

もちろん、薩摩中霧島壁を使えば壁体内結露が起こらなくなる、という単純な話ではありません。

壁体内結露を防ぐためには、防湿・気密・通気などを含めた壁体構成全体の設計が必要です。

それでも私たちは、家の中で使う素材一つひとつまで、湿気との関係を考えることに意味があると考えています。

そして、それが鹿児島の土地から生まれた素材であることも、ERBENが薩摩中霧島壁を採用する理由の一つです。

高性能住宅は「閉じる」だけではない

高断熱・高気密住宅というと、

「外の熱を入れない」
「中の熱を逃がさない」
「隙間をなくす」

という、「閉じる性能」に目が向きます。

もちろん、それは大切です。

しかし、住宅はただ閉じればいいわけではありません。

必要な空気は、計画的に換気する。

壁体内に入り込んだ湿気は、適切な構成によって外へ逃がす。

室内の湿度については、調湿性を持つ素材も活用する。

つまり、

「閉じる」と「逃がす」。

この両方を考えることが、本当の意味での高性能住宅につながるのではないでしょうか。

数字では見えないところまで

UA値。

C値。

断熱等級。

これらは住宅性能を判断するための大切な数字ですが、

調湿性能を持った素材を使ってもその数字には出てきません。

ERBENも、性能値にはこだわっています。

しかし、私たちが本当に見ているのは、その数字の先です。

どのような断熱材を使うのか。

熱橋をどう減らすのか。

防湿層はきちんと連続しているのか。

気密層に隙間はないのか。

壁体内の湿気を逃がせる構造になっているのか。

断熱材が途切れている部分はないのか。

施工によって、設計した性能を損なっていないか。

そして、室内にはどんな素材を使うのか。

こうした部分は、完成した家を見ただけでは分かりません。

だからこそERBENは、

「高性能=数字が高いこと」だけではない。

と考えています。

家の中で暮らす人が、壁の中を見ることはほとんどありません。

だからこそ、見えないところにこそ、住宅会社の考え方が表れるのだと思います。

 

この記事を書いた人
髙山 良樹

ERBEN チーフ

髙山 良樹


住宅会社にて12年ほど、家づくりに携わっていました。
その後、木材プレカット会社で住宅の構造や建材全般、商材の流通について学び、再び注文住宅の現場へ戻りました。
現在はERBENの家づくりに共感いただける方々との出会いを大切に、家づくりのお手伝いをさせていただいております。
このブログではこれまでの経験をもとに、住宅性能や構造、建材、設計など、家づくりについて発信していきます。

出身地:広島県広島市(子育てのために鹿児島へ移住)

趣味・特技:釣り、魚料理